政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「んー、陽愛をおんぶ、二人目を前に抱っこ紐、三人目と清華を両腕で抱っこだな」

零士さんはそれで決まりだといった感じだが、それはもはや中国雑技団では?

「じゃあもっと、トレーニングしないとですね」

「そりゃ……って、清華?」

なにかに気づいたのか、彼の声が怪訝そうになる。

「……双子、だそうです」

「双子?
そうか、そうなのか」

熱い顔でうんと頷く。
動揺しているのか零士さんは鼻から下を片手で撫で下ろした。

「なら、今日は抱っこしない方がよかったな。
いや、俺は絶対に清華を落とさないがな!」

力強く言いきり、うんうんと数度、彼が首を縦に振る。

「その。
早く言わないですみません。
でも、ひさしぶりに零士さんに抱っこされて嬉しかった、ので」

恥ずかしいのは本当だが、それ以上に彼に抱っこされて回るのは彼が私だけのものだという感じがして好きだ。
今日は陽愛とシェアだったけれど。

「そうか、じゃあ今度、子供を預けてふたりだけでデートに行こう。
しばらくはおあずけだけどな」

「はい」

「しかし、双子かー。
いっぺんにふたりも増えるのか。
これはますますトレーニングに励まないとな」

零士さんはやる気満々といった感じだが、せめて抱っこは子供だけにしてください……。
なんていう私の願いが虚しく砕け散るまで、あと一年ほど。


【終】
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