政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
振り払おうとするものの、力が強くて離れない。
助けを呼ぼうとするが、恐怖で貼り付いた喉は呼吸すら阻んだ。
「……なに、やってるんだ?」
「……は?」
男の進路を阻むようにさらに背の高い、ビジネスマン風の男性が立ち塞がった。
「怖がっているじゃないか。
その手を離せ」
声を荒らげるでもなく、彼が私に絡んでいた男を見下ろす。
「ひぃっ!」
次の瞬間、男は小さく悲鳴を上げて私の手を離した。
「通報されたくなかったらさっさと去れ」
「く、くそっ!」
捨て台詞のように吐き捨て、男が転がるようにいなくなる。
その間、私がなにをしていたかと言えば……なにもできずにただガタガタ震えて突っ立っているだけだった。
「大丈夫か?」
助けてくれた男性が、私の前にしゃがんで視線を合わせてくれる。
それくらい、彼は背が高かった。
年は去年、大学を卒業した従兄と一緒くらいだろうか。
シルバースクエアの眼鏡の奥から見ている彼は、私を心配していた。
それで気持ちが少し、緩んだ。
「……だ、大丈夫、です。
ありがとう、ございました」
助けを呼ぼうとするが、恐怖で貼り付いた喉は呼吸すら阻んだ。
「……なに、やってるんだ?」
「……は?」
男の進路を阻むようにさらに背の高い、ビジネスマン風の男性が立ち塞がった。
「怖がっているじゃないか。
その手を離せ」
声を荒らげるでもなく、彼が私に絡んでいた男を見下ろす。
「ひぃっ!」
次の瞬間、男は小さく悲鳴を上げて私の手を離した。
「通報されたくなかったらさっさと去れ」
「く、くそっ!」
捨て台詞のように吐き捨て、男が転がるようにいなくなる。
その間、私がなにをしていたかと言えば……なにもできずにただガタガタ震えて突っ立っているだけだった。
「大丈夫か?」
助けてくれた男性が、私の前にしゃがんで視線を合わせてくれる。
それくらい、彼は背が高かった。
年は去年、大学を卒業した従兄と一緒くらいだろうか。
シルバースクエアの眼鏡の奥から見ている彼は、私を心配していた。
それで気持ちが少し、緩んだ。
「……だ、大丈夫、です。
ありがとう、ございました」