政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「私、好きな人がいるんです!」
まだそこに進むのが怖い私は、反射的に彼を拒絶していた。
「……え?」
零士さんの瞼が開き、レンズの大きさに迫らんばかりに目が見開かれる。
「好きな人?」
彼の顔が戸惑いから怒りへ変わっていく。
それでも彼は怒鳴らないように努めて冷静に振る舞っているように見えた。
「えっ、あの、その」
内心、だらだらと変な汗を掻いた。
いくら今はまだ拒みたくても、この言い訳はない。
「それは誰だ?
俺の知っているヤツか?」
唇が触れそうな距離まで彼の顔が迫ってきて、背中が仰け反る。
「え、えーっと……」
まさかまだ抱かれたくないがための口から出任せだとは言えない。
しかしなにか言わなければ彼は納得してくれそうになかった。
「は、初恋の人、で」
結局私は、嘘にさらに嘘を重ねた。
「中学生の頃に私を助けてくれた人なんですが、その人のおかげでその後の進路について父ときちんと話ができました。
それに毎年、誕生日には薔薇の花束を贈ってくれて。
結婚するならその人がいいなー、……なんて思っていたので」
まだそこに進むのが怖い私は、反射的に彼を拒絶していた。
「……え?」
零士さんの瞼が開き、レンズの大きさに迫らんばかりに目が見開かれる。
「好きな人?」
彼の顔が戸惑いから怒りへ変わっていく。
それでも彼は怒鳴らないように努めて冷静に振る舞っているように見えた。
「えっ、あの、その」
内心、だらだらと変な汗を掻いた。
いくら今はまだ拒みたくても、この言い訳はない。
「それは誰だ?
俺の知っているヤツか?」
唇が触れそうな距離まで彼の顔が迫ってきて、背中が仰け反る。
「え、えーっと……」
まさかまだ抱かれたくないがための口から出任せだとは言えない。
しかしなにか言わなければ彼は納得してくれそうになかった。
「は、初恋の人、で」
結局私は、嘘にさらに嘘を重ねた。
「中学生の頃に私を助けてくれた人なんですが、その人のおかげでその後の進路について父ときちんと話ができました。
それに毎年、誕生日には薔薇の花束を贈ってくれて。
結婚するならその人がいいなー、……なんて思っていたので」