政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
その日のショーにはウェディングドレスが登場した。

「素敵……」

シンプルながら計算つくされたドレスはモデルを引き立て、とても美しかった。
いいな、私もあんなドレスを……。
隣に座る零士さんをちらり。
そう言えば式はどうするんだろう?
籍は入れたけれど式は挙げていない。
そのうち、するのかな?

今日はそのショーが最後だったので、終わってホテルに帰る。

「ウェディングドレス、よかったな。
あそこで清華のドレスをオーダーするか」

ソファーに並んで座りながら、零士さんがうっとりと私の髪を撫でる。

「あー……。
素敵だったんです、けど……」

私には夢があるのだ。
でもこれを言うのは気が引ける。

「けど、なんだ?
他に希望があるならそっちにする」

「えっと……」

優しげに微笑んで零士さんはレンズの向こうから私を見ている。
言っても怒られないかな?
それに反対されるとしても、言うだけなら問題ない、はず。

「ウェディングドレスは自分で作りたいんです。
……なんて言うと呆れますか?」

そっと上目遣いで零士さんの反応をうかがう。
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