政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「結婚指環。
それに婚約指環も。
準備してもよかったが、どうせなら清華の好みのものがいいだろ?」

なんでもない顔で零士さんはコーヒーを飲んでいる。
そんなの、考えてくれているなんて思わなかった。

「……お気遣い、ありがとうございます」

「気遣いなんて、そんな」

少し赤い顔で、零士さんがズレてもいない眼鏡を上げる。
……零士さんは優しい。
優しい旦那様で本当によかった。

指環も少し見てみようと、午後からはアクセサリーショップにも寄る。

「清華はどういうのが好みなんだ?」

零士さんの視線の先には、いかにも高級そうな大きなダイヤがついた指環が並んでいた。

「シンプルなのが好きですね」

そこのコーナーの中では一番目立たない、一周する小粒なダイヤの中央にそれより少しだけ大きなダイヤがついた指環を指さす。
こんな安そうなのはダメだとか言われるかな、なんて思ったものの。

「いいんじゃないか。
こういうのは重そうだと思っていたし」

予想に反し、あっさりと同意してくれて驚いた。

「なら、こういうのはどうだ?」

零士さんが指したのは、プラチナのパヴェリングだった。
センターが細くくびれ、アクセントになっている。
< 46 / 252 >

この作品をシェア

pagetop