政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「素敵です……!」

零士さんが店員に合図し、出してもらう。
それを彼は私の左手を取って薬指に嵌めた。

「サイズもちょうどいいみたいだし、いいんじゃないか?」

「そうですね……」

実際に指に着けてみると、さらによく見えた。

「でも、最初の店で決めてしまうのもあれだよな。
もう何軒か見てみよう」

零士さんが店員に断り、店を出る。
ちょっと残念。
あれ、けっこう気に入ったんだけどな。
でも零士さんの言うとおり、他にもっといいのがあるかもしれないし。

そのあと、さらに何軒か見てまわった。
結局決まらずに、カフェでお茶にする。

「微妙に、なんか違うんだよなー」

アイスコーヒーのストローを咥え、零士さんはブツブツ言っている。
デザインは好きだがダイヤが大きすぎとか、このデザインでパヴェリングじゃない方がいいとかずっと不満を漏らしていた。

「いっそ、オーダーにするか」

それはいい考えかも。
それなら、零士さんの希望どおりに作れる。

「オーダー、賛成です」
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