政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「そうか!
帰国したら早速手配しよう」

了承が得られて、零士さんは嬉しそうに頷いた。
でもあれ、惜しかったな。
しかしファッションリングで買うほど、手軽な値段でもなかったし。
諦めよう。

「わるい、ちょっと待っていてくれないか」

お茶も飲み終わり、零士さんが腰を浮かせるので立とうとしたら止められた。

「どうかしたんですか?」

「ん?
ちょっとな。
ケーキでも食べて待ってろ。
食べたそうな顔してただろ」

「あいたっ」

その長い指で私に軽くデコピンし、ニヤリと笑って零士さんは店を出ていった。

「……子供扱い」

九つも下だとそうかもしれないけれど。

それでも素直に追加でケーキを頼む。

「バレてたんだ……」

大人の女性に見られたくて、美味しそうなケーキは我慢してマカロンを摘まむだけに留めた。

……零士さんに釣り合いたい。

それでなくても今日、私は零士さんにお子様抱っこされて移動している。
お兄さんとお買い物? とまで聞かれた。
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