政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
……どうして疑問形?

「それだけ、ですか?」

「んー?
……やっぱり総合して、可愛いところだな」

私を見下ろし、視線を合わせて零士さんがにぱっと笑う。

「えーっと……。
わかり、ました」

納得はできないが、それ以上は教えてくれそうにない雰囲気だったので、もう聞かなかった。

また零士さんに抱き抱えられてホテルに戻る。
しかし、もう抱っこされての移動はデフォルトなのかな……?
帰国してもこの状態だとは……思いたくない。

夕食のあと、パリでの最後の夜をバルコニーでまったりと過ごした。

「帰ったら指環のオーダーだろ、式場も選ばなきゃだし……」

デイベッドに並んで寝そべり、零士さんは楽しそうに予定を語っている。

「これ、は婚約指環じゃないんですか?」

自分の左手を目の高さにまで持ってきて、薬指に嵌まる指環を見る。
私はそのつもりだったけど、違うのかな?

「結婚指環ができあがるまで、代わりのがいるだろ?」

「代わり……」

これが?
それにしてはお値段が、なんていうのは言わないでおく。
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