政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「……どうせ、家柄だけでしょ」

こそこそと話されるのはいい気はしないが、苦笑いで済ませる。
神鷹との繋がりはどこだって喉から手が出るほど欲しい。
それに零士さんはあの容姿だ。
憧れている人間も少なくないだろう。

「清華さん」

「はい」

お義母さまに呼ばれ、前に立つ。

「今日からお稽古に参加する、零士の妻の清華さんです」

「神鷹清華です。
よろしくお願いいたします」

紹介されて頭を下げた。
ちくちくどころか、ぐさぐさと容赦なく視線が刺さる。
もうこれは割り切って、慣れるしかないんだろうな。

「……ん?」

頭を上げたところで、ひとりと目が合った。
ずっと見ていたのに気づいたのか、慌てて相手が視線を逸らす。
そこまで私が、に気に入らないのかな?

勧められた場所に座り、まもなくお稽古がはじまった。

「清華さんはお花、初めてなのよね?」

「小さい頃に習ったことはあるんですが、もう何年もやっていないので……」

お義母さまの言葉に頷く。
一応、母にお茶にお花とひととおり仕込まれたが、中学に上がったあたりから反抗期もあってやらなくなった。
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