政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「はい」

お義母さまの手が空いたところで、評価をお願いする。

「ひさしぶりにしてはよくできていると思います」

「ありがとうございます」

お褒めの言葉が出て、少しだけ安心した。
小さい頃、嫌がる私にお稽古を続けてくれた母に感謝だ。

「だいたいよろしいですが、少しだけ……」

いくつかの花の位置をお義母さまが移動する。
それだけでぐっと、引き締まった印象になった。

「根元は引き締めるように生けていくといいですよ」

「わかりました、次から気をつけます。
ありがとうございました」

お礼を言ったところで講評は終わり。
そのまま、他の方が終わるのを待つ。

すでに終わった方たちが、私の生けたお花を見に来る。

「まあ」

「あらあら」

うふふ、とか笑い声こそお上品だが、目は完全に品定めしている。
この程度なのかと嘲笑しているのは丸わかりだ。

……ううっ。
やっぱり少しくらい、事前にやっておくんだった。
零士さんに合わせる顔がないよー。
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