政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
その後の数人が話しかけてきたが、誰も彼も鞠子さんと似たようなものだった。

おひらきになり、お義母さまと一緒に生徒さんたちを見送る。

「お疲れ様でした、清華さん」

労うようにお義母さまが軽く、私の背中をぽんぽんする。

「居心地は悪いと思いますけど、辛抱してちょうだい。
これも神鷹の妻の務めです」

「ありがとうございます。
わかっていますから大丈夫です」

お義母さまが苦笑いを浮かべる。
こうやって奥様同士の繋がりが大事なのはわかっている。
それに将来こうなるのはわかっていたのに、仕事にかまけておろそかにしていたツケでもあるので仕方ない。

「今日、零士はいないのでしょう?
よかったら夕食を食べていきなさい」

「ありがとうございます。
では、お言葉に甘えさせていただきます」

サロンは疲れるが、お義母さまはいい方だ。
だからきっと、やっていけると……思う。

夕食はその落差に驚くほど楽しかった。
こういう家の……というのは失礼だが、それくらい当主であるお義父さまはフランクだ。

「タピオカミルクティ飲んでみたいんだけど、買いたいから車止めてって言ったら秘書に怒られちゃうんだよね……」

しゅん、と落ち込んでいるお義父さまは、私から見ればとっても可愛いおじさまだ。
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