政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
しかし実際は政財界を陰から操っており、父曰く「あの方を怒らせたら総理の首くらい簡単に飛ぶ」……らしいが。

「でも零士のお嫁さんがこんなに可愛い方でよかったわ」

お義父さまもお義母さまに同意してうんうんと頷いているが、これって?

「あの、私たちの結婚って、お義父さまが決めたのでは……?」

私は、神鷹の家から申し出……というより命令?があったと父から聞いている。
しかしお義母さまの口ぶりでは、私のことを知らなかったみたいだ。

「違うよ。
零士が『この子と結婚するかよろしく』って全部、手配していた」

「そうそう。
あの子は?
この子はどうかしら?
って勧めても絶対に首を縦に振らなかったのに、ある日突然」

「え……」

どういうこと、なんだろう?
零士さんが私をご指名?
意味はわからないが、あの零士さんを見ていたら納得はした。

「零士が連れてきた方だから大丈夫だとは思っていたけれど、清華さんは素直で可愛らしくて。
もー、うちの息子は大きすぎて可愛くないから……」

「は、はははは……」

頬に手を当て、物憂げにお義母さまがため息をつき、とりあえず笑っておいた。
そうですね、とは言いづらい。
……それにしても、零士さんはもう可愛いとかいう問題じゃないと思う。
それをそんなふうに言うあたり、さすが母親というべきか。
< 66 / 252 >

この作品をシェア

pagetop