政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
式場が決まるまでは保留かな……。

あとは、お義母さまのお稽古はお花とお茶と週に二回なので、また義実家へ行った。

……うーっ、今日も視線が痛い。

もう零士さんは結婚したんだから、諦めるとかないんだろうか。

「同じ組だなんて奇遇ですね」

「そ、そうですね」

鞠子さんへ引き攣った笑顔を向けた。
お茶室は狭いので何組かに分けてお稽古は行われる。
それが、よりにもよって鞠子さんと一緒だなんて。

周りの反応から察するに、どうも鞠子さんが零士さんのお嫁さん候補ナンバーワンだったようだ。
本人もその気だったみたいで、完全に敵視されている。
とはいえ、表面上は仲良くしてくださっているが。

今日は客役のみで、目の前にお茶が出される。

……お茶碗を回して……。

教えてもらったとおりに時計回りにお茶碗を回して口をつけようとしたものの、隣から鞠子さんから足をつつかれた。

「……清華さん。
お茶碗は二回、回してください」

そっと彼女が耳打ちしてくる。
瞬間、ぼっと顔が火を噴いた。

「えっ、……あ、……はい」
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