政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
にっこりと笑って答えたら、鞠子さんの笑顔が引き攣っている。
嫌みを言ったはずが堪えていないのだから、そうなるんだろう。
しかもダッツなんて気軽にいくつも買えるはずなのに、〝ご褒美〟とか、理解できないに違いない。

「れ、零士さんは清華さんの、そういうところがいいんでしょうね」

しかし気を取り直し、なんでもないようにさらに嫌みを言ってきた。
ちなみにこれを翻訳すると「零士さんはあんたみたいな変わった人間が物珍しいだけよ」だ。

「はい、零士さんは私を可愛がってくれます」

私の答えで、鞠子さんは鼻白んだ。
私としては事実を言っているだけで他意はない。

「そ、そう。
よかったわね……」

今日のお話はこれで終わりらしく、鞠子さんは他の人のところへ行った。

……はーっ、疲れるなー。

これは零士さんのためでもあるんだから、耐えよう。

今日も夕食をごちそうになって、帰る。

「あ、零士さんからだ」

ベッドでごろごろしながら携帯を確認したら、零士さんからメッセージが入っていた。

【仕事が早く片付いた。
明日帰る】

予定より一日早い。
帰ってくるのは嬉しいけれど、無理していないか心配。
< 70 / 252 >

この作品をシェア

pagetop