政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「あ、そうだ」

何時に帰ってくるのかまだわからないが、夕食を私が作っていたら喜んでくれないだろうか。
いい考えな気がする。
零士さん、なにが好きなんだろ?
明日、料理頑張ろう。



朝、出勤してきたメイドさんに夕食は私が作っていいか聞いたら、驚きながらも許可してくれた。
ついでに、零士さんはなにが好きか聞いてみたけれど、なんでも残さずに食べるからわからないと言われた。

「お昼過ぎに向こうを出るのなら……ちょうどいいくらいかな」

もらった連絡から指折り、到着時間を割り出す。
予定が変わってもすぐに帰ってこられるなんて、プライベートジェットって便利だなー。

お昼ごはんを食べて買い物に出た。
近くのスーパーはセレブ街らしくひとり暮らし時代の私からすればくらくらしたが、かまわずに買い物をする。
これからはこっちの感覚に戻していかなきゃいけないんだよね……。

帰ってきて調理をはじめる。
好きなものはわからなかったから、無難にビーフシチューにした。
タンにするかスネにするか悩んだが、私が食べたい気分だったからタン。

ことこと煮込みながら考えた。
私ひとりくらいの食事なら自分で作れる。
それをわざわざ、メイドさんに作ってもらうのは悪くないかな。
でも、そうなるとふたりは必要ないし、どちらかが失業ってことになっちゃうのかな……?
それはそれで悪いし、悩む。
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