政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
あとは、帰ってくるとき間にあわせて副菜を作る。

「ただいま」

「おかえりなさいませ」

予定どおり帰ってきた零士さんの唇が、私の額に触れる。

「いい匂いがするな」

「今日の夕食は私が作ったんですが、……どうですか?」

自信はなくて、上目遣いでおずおずと彼の顔をうかがう。

「清華が?
それは楽しみだ」

眼鏡の奥で目尻を下げ、また零士さんが私の額に口付けを落とす。
それだけで上機嫌になっているのって、単純なのかな……?

テーブルにできあがった料理を並べる。
サーモントアボカドのサラダに、クリームチーズのパスタ。
ごはんはパセリライスにした。
あとはメインのタンシチュー。

「美味しそうだな」

ほくほく顔で零士さんが椅子に座る。

「お口に合うかわかりませんが」

ひとり暮らし中に料理の腕はそれなりに磨いたし、食べられないものではない……ハズ。

「いや、清華が作ってくれたってだけでごちそうだ」
< 72 / 252 >

この作品をシェア

pagetop