政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
フォークを取って零士さんは早速、食べはじめた。

「どう、ですか……?」

作ったものの、いざとなると急に自信がなくなった。
零士さんはいつも、美味しいものを食べているのだ。
メイドさんの料理だって、高級店と遜色がない。
そんな人に私ごときの手料理を出して、よかったんだろうか。

「うん、美味しい」

ぱっ、と零士さんの顔が輝く。

「お世辞……じゃ、ないですよね?」

しかし、それでも私は自信がなかった。

「なんで俺が、清華にお世辞とか言うんだ?
清華には全部、本音でしか話していない」

不思議そうに零士さんが、レンズの奥で何度かぱちぱちとまばたきをする。

「あ、えと。
疑ったとかではないんですが」

熱くなった顔で俯きがちにフォークを口に運ぶ。

「清華に疑われるのは傷つくなー」

「うっ」

わざとらしく零士さんがわざとらしく胸を押さえ、思わず言葉に詰まった。

「え、えと。
そのー」
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