政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「傷ついたなー、俺。
すごーく、傷ついた」

まだ胸を押さえたまま、ちらちらと眼鏡の上の隙間から零士さんがうかがってくる。

「あのー……」

これって謝ればいいのかな?
でも、それだけで許してくれるのかな……?

「すごーく傷ついたからこれは、清華からキスしてもらわないと癒えないなー」

ちらっ、と零士さんが私を見る。

「……はい?」

キスを……私から、する?
今度は私が零士さんをちらっと見る。
彼は期待を隠しきれない目で私を見つめていた。
自分からするのは恥ずかしい。
が、それで許してくれるなら……。

「えっと。
……食事のあとで、なら」

とりあえずへらっと笑って答えると、ぱーっと雲間から太陽が出たみたいに零士さんの顔が輝いた。

「食事のあとでしてくれるんだな!」

「あ、……はい」

テーブルを手で押さえ、零士さんは軽く身を乗りだしてきたけれど……あれ?
私、なんか間違えた?

食事が終わり、コーヒーを淹れてリビングへ移動する。
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