政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「……補充、完了」

離れた零士さんは私と目を合わせ、口角を僅かに持ち上げた。
その顔に、全身がみるみる熱を持っていく。

「あ、……はい。
そうですか」

補充って、なんの?
よくわからないけど……零士さんがいいならいいか。

私を落とさないように支えながら、零士さんはソファーの傍らから紙袋を取りだした。

「清華にお土産」

「私に……?
開けてもいいですか」

「ああ」

がさがさと袋を開けて中身を取りだす。

「これは……布?」

中からはいくつも、布の束が出てきた。

「こういうのが清華の服作りに使えるのかわからないが、とりあえず見本?
気に入ったのがあったら、今度一緒に買いに行こう」

ぼりぼりと零士さんは照れくさそうに、首の後ろを掻いている。

「ありがとうございます!」

たぶん、50センチ幅くらいの布がこんなにたくさん。
見本はもちろんだが、この幅ならバッグとか小物が作れる。
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