政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
鏡越しに確認され、こくんとひとつ頷く。
穴をあける位置を決めて零士さんが耳朶を、消毒液を含ませた脱脂綿で拭き、ひやりとした。

「いくぞ」

ピアッサーが右耳に当てられ、ズレないように視線だけで了承だと合図を送る。
次の瞬間、耳もとでバチンと大きな音がした。
それと共に、鈍く耳朶が痛みだす。

「反対側も」

同じようにピアッサーで、零士さんは私に左耳にも穴をあけた。

「できたぞ。
痛いか?」

眼鏡の下で眉を寄せ、零士さんが私の顔をのぞき込む。
それにううんと首を振った。

「ありがとう、清華。
俺に穴をあけさせてくれて」

ちゅっと軽く、零士さんの唇が私の額に触れる。

「……これで清華の身体の中に入った人間は、俺が最初だ」

今度はちゅっと着けられたばかりのピアスに口付けが落とされた。

「身体の中、って……」

……なんか凄く、エロティックだよ……。

「身体の中、だろ。
間違いはない」
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