政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
反対側のピアスにも零士さんは口付けした。
鏡の向こうから零士さんが私をじっと見つめている。
視線は逸らせなくて、私もそれを見返した。

「なにを考えている?」

零士さんが右の口端を僅かに持ち上げる。
途端に頭の中を知られたようで、カッと頬が熱くなった。

「あの、その」

「でもそれは、清華が心の底から俺を好きになるまで待つよ」

慌てる私をおかしそうに小さくくすりと笑い、再び額に口付けして零士さんはようやく私から離れた。

「そろそろ寝よう。
俺は明日、朝早いんだ」

「はい」

零士さんと一緒にベッドへ入る。

「耳は毎日、消毒するようにメイドに言っておく」

「え、それくらい自分でできますから」

寝返りを打って零士さんの方を向くと、彼もこちらを見ていた。

「それに零士さんがいない日、ひとりで大丈夫なので。
あ、でも、そうなるとひとりが失業になっちゃうのかな……?」

「……ぷっ」

人が真剣に悩んでいるというのに零士さんが噴きだし、不機嫌になる。

「……零士さん?」
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