政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
おかげで尖った声を出してしまった。

「いや、すまん、すまん。
清華がそんなことで悩むなんて思わなくてな」

あやすように額へ口付けされ、子供扱いされているかのようでますます不機嫌になった。

「食事だけじゃなく、掃除や洗濯もあるだろ?
清華が外出するときの、車の運転もあるし」

そうなのだ、義実家へ行くときなど、メイドさんが車を運転して連れていってくれる。
しかし、言わせてもらえば。

「免許は持ってますので、自分でできます。
……ペーパーですけど」

大学生時代に車の免許は取った。
それ以来、一度も運転はしていないが。
それでもなんとかなる……はず。

「ペーパーの清華に運転させるなんて恐ろしいこと、できないな」

くすくすとおかしそうに零士さんが笑う。
でもその気持ちがわからないわけではない。

「今度時間があるときに、実家の庭を借りて練習しよう。
それで合格点が出せたら、許可するよ」

「はい、そうしましょう」

絶対ダメだと言われるんじゃないかと思っていた。
でも零士さんは今までと同じで、私の意思を尊重してくれた。
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