政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
零士さんのいない日はウェディングドレス作りと息抜きの服作り。
週に二回、零士さんの実家へ行く。

「今日の清華さんのお花、素敵でしたわ」

「ありがとうございます」

にっこりと笑顔を作って鞠子さんにお礼を言う。
彼女はとても仲良くしてくださり、この年になってサロンデビューした私をグループに入れてくださった。
……ただし、〝表面上は〟だ。
私を見下し、なにも知らない不調法者を指導してやっているのだという優越感に浸っているのを、端々から感じていた。

「清華さん、お疲れ様。
今日も零士はいないのでしょう?
なら、夕食を食べていきなさい」

「はい、お言葉に甘えさせていただきます」

お稽古へ行った日は高確率で、義実家で夕食をごちそうになる。

「昨日、期間限定抹茶フラッペ飲みたいから寄って、って言ったら秘書に怒られちゃったんだよ」

お義父さまの口から残念そうにため息が落ちる。

「買ってきてくれるって言うけどさ、あの呪文みたいな商品名言って注文したいじゃない?」

「そうですね。
そうだ!
今度一緒に、買いに行きません、……か?」

いい考えだと思わず胸の前で小さく手を打ったものの、これは呆れられるんじゃないかと語尾は小さくなって消えていった。
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