政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
言った途端にまたふたり同時に口を開いて顔を見あわせ、それに気づいて勢いよくそっぽを向く。

「じゃあ……順番、で」

「順番ね!」

とうとうふたりは、じゃんけんをはじめた。
それは微笑ましくて、憧れる。
私の両親のようなお互いを尊重しあう穏やかな関係もいいが、零士さんのご両親のような友達みたいになんでも言い合える関係もいい。

「やったー、僕の勝ちー」

じゃんけん三回勝負は、お義父さまが勝ったようだ。

「ううっ、次はオセロで勝負よ!」

喜ぶお義父さまに、お義母さまがさらなる宣戦布告をする。
これってもしかして、永遠に決まらないパターンなのでは……?

結局、私が帰るまで勝負は決まらなかった。

泊まっていけばいいというお義母さまに遠慮して、帰途に就く。
家に帰ってきてメイドさんを下がらせると、ひとりになった。

「ひとり暮らしは平気だったのにな」

家が広いからか、ひとりは淋しい。
早く零士さんに帰ってきてほしいって願ってしまう。

「でも、お仕事だから……」

ベッドに潜り込み、ぬいぐるみ代わりに零士さんの枕を抱いた。
そうだ、大きなぬいぐるみを買って置くのもいいかも。
明日、余裕があったら見に行ってみよう……。
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