【短】そろそろ好きって言えよ。



「つか、人の家なのに寛ぎすぎ」

「いいじゃん、家族みたいなものなんだから。おばさんも好きに過ごしてねって言ってくれてるし」


「はぁ……母さんも菜月には甘いから……」

「ねぇ、昔はなっちゃんって呼んでたでしょ?
もう呼ばないの?」


「呼ばねーよ、恥ずかしい」

「えー、つれないなぁ」


仁は私が幼稚園児だった頃に隣に引っ越してきた事がきっかけで、十数年ほど家族ぐるみの付き合いをしているんだ。


なんだかんだ私の事を慕ってくれていて、私も本当の弟のように可愛がっていた。


それは私たちが高校生になっても変わらない。


前よりは頻度が減ったけれど、学校が休みの日はどちらかに用事が入らない限り、今日みたいに一緒に過ごしているの。

お菓子を持ち込んでゲームしたり、
テスト期間になったら一緒に勉強してる。

仲良い女友達より、過ごしてる時間が長い。


仁といるのが当たり前になってきてるんだよね。
隣にいないと落ち着かないっていうか。

そんな事を考えていると、心地の良い温度に包まれて再び目蓋が重くなってきた。


このまま眠ったら、なんだか仁の夢を見そうな気がするなぁ……。


――なんて、ふわふわとした意識の中で思いながら、あと少しで完全に夢の世界に入りかけていた、その時。
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