今さら好きだと言いだせない
§1.営業部の先輩
「はい、これ」
会社のパソコン画面をじっと見つめる私のデスクに、突然小さな袋に入ったお菓子がポンと置かれた。
置いたのは、入社時に同じ部署に配属になった同期の芹沢 侑吾。
私、町宮 南帆は株式会社ネクストスターフーズという食品メーカーの企画業務部で働いている。
今年で勤続四年目で、二十六歳になった。
「え、私にくれるの?」
「昨日、営業の山本さんと外出してて、帰りに菓子博に寄ったから買った。町宮はそういうの好きだろ?」
渡された小袋のパッケージに目をやる。どうやら中身はチョコフロランタンのようだ。
何種類かのナッツが練りこまれていてとてもおいしそうで、今すぐ袋を開けて口の中に入れたくなったが、まだ午前中なので休憩までグッと我慢する。
お昼ご飯のあとのデザートとしていただこう。そんなふうに考えを巡らせると、自然と口元が綻んだ。
「ありがとう! めちゃくちゃうれしい」
「それはよかった」
小さなお菓子ひとつでよろこぶ私が面白いとばかりに、芹沢くんがフフッと肩を揺らして笑う。
くっきりとしたフェイスラインに、奥二重の瞳、スッと通った鼻梁の持ち主である彼はすごく整った顔をしている。
ほんのり茶色がかった髪をワックスでゆるく遊ばせていて、高身長で肩幅も広く、どこから見てもカッコいい。
会社のパソコン画面をじっと見つめる私のデスクに、突然小さな袋に入ったお菓子がポンと置かれた。
置いたのは、入社時に同じ部署に配属になった同期の芹沢 侑吾。
私、町宮 南帆は株式会社ネクストスターフーズという食品メーカーの企画業務部で働いている。
今年で勤続四年目で、二十六歳になった。
「え、私にくれるの?」
「昨日、営業の山本さんと外出してて、帰りに菓子博に寄ったから買った。町宮はそういうの好きだろ?」
渡された小袋のパッケージに目をやる。どうやら中身はチョコフロランタンのようだ。
何種類かのナッツが練りこまれていてとてもおいしそうで、今すぐ袋を開けて口の中に入れたくなったが、まだ午前中なので休憩までグッと我慢する。
お昼ご飯のあとのデザートとしていただこう。そんなふうに考えを巡らせると、自然と口元が綻んだ。
「ありがとう! めちゃくちゃうれしい」
「それはよかった」
小さなお菓子ひとつでよろこぶ私が面白いとばかりに、芹沢くんがフフッと肩を揺らして笑う。
くっきりとしたフェイスラインに、奥二重の瞳、スッと通った鼻梁の持ち主である彼はすごく整った顔をしている。
ほんのり茶色がかった髪をワックスでゆるく遊ばせていて、高身長で肩幅も広く、どこから見てもカッコいい。
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