今さら好きだと言いだせない
営業一部の島へ行き「お疲れ様です」と声をかけると、すぐに徳永さんが私を見つけて近寄って来てくれた。
上品な香水の香りがふわりと漂い、彼のカッコよさを際立たせている。
「町宮さん、お疲れ様」
軽く会釈をしてくれた際に、徳永さんの前髪がサラリと揺れた。
彼が人気なのはすごくよくわかる。笑顔がとびきり爽やかで素敵だから。
営業事務の女性社員全員が、なんだかウキウキしているようにも感じる。比べるのは失礼だが経理部の空気とは丸きり違う。
「徳永さん、お疲れ様です」
「もうすぐ北野も来るから。今日はミーティングに付き合ってもらって悪いね」
「いいえ。全然大丈夫です」
キラキラした笑顔がまぶしい人だ。
切れ長の目がカッコよくて、男女問わず美形は得だなと、少々羨ましくなった。
同じ営業部で今年の新入社員である北野くんも加わり、三人ですぐ隣にあるミーティング室に入る。
長机と椅子が並べてあるところに適当に座って資料を広げた。
徳永さんと北野くんが横並びで、私がふたりの向かいになる位置だ。