今さら好きだと言いだせない
経理部に経費の申請を出しに行くと、溝内さんが笑みを添えて、適切に書類を受け付けてくれた。
芹沢くんの恋人だと嘘をついている負い目があるので、そこにはもちろん申し訳ない気持ちを抱いてはいるが、彼女の態度が変わったことで私はここへ足を運ぶのが苦ではなくなった。
溝内さんとお互いに笑顔で会釈をして経理部を出た。
そこで偶然、隣の総務部から出て来た徳永さんとバッタリ出くわす。
「あぁ、町宮さん。お疲れ様」
「……お疲れ様です」
徳永さんとこうして会話を交わすのは、あの飲み会の日以来初めてだ。
気まずいことこの上なかったが、平静を装わねばと、がんばって顔に笑みを貼りつける。
「この前はごめんね。大丈夫だった? 俺も酔ってたみたい」
あの日は結局、飲みすぎたので三人で先に帰ると燈子が言ってくれたらしい。本当はたいして飲んでいなかったのだけれど。
徳永さんだって酔っていたようには見えなかったが、お互いそういうことにしておこう。
芹沢くんの恋人だと嘘をついている負い目があるので、そこにはもちろん申し訳ない気持ちを抱いてはいるが、彼女の態度が変わったことで私はここへ足を運ぶのが苦ではなくなった。
溝内さんとお互いに笑顔で会釈をして経理部を出た。
そこで偶然、隣の総務部から出て来た徳永さんとバッタリ出くわす。
「あぁ、町宮さん。お疲れ様」
「……お疲れ様です」
徳永さんとこうして会話を交わすのは、あの飲み会の日以来初めてだ。
気まずいことこの上なかったが、平静を装わねばと、がんばって顔に笑みを貼りつける。
「この前はごめんね。大丈夫だった? 俺も酔ってたみたい」
あの日は結局、飲みすぎたので三人で先に帰ると燈子が言ってくれたらしい。本当はたいして飲んでいなかったのだけれど。
徳永さんだって酔っていたようには見えなかったが、お互いそういうことにしておこう。