今さら好きだと言いだせない
「違うよ! 好きじゃない」
私が好きなのは芹沢くんだよ、と言ってしまいたい。だけど出来なくて、それがもどかしくて仕方ない。
正直に自分の気持ちを吐露すれば、ギクシャクして偽装の恋人関係が解消になり、彼のそばにいられなくなると思う。私はそれが怖いのだ。
「だったら、そんなにシュンとするなよ。弱ってるとつけこまれるぞ」
「……大丈夫」
「大丈夫じゃないだろ。町宮のそんな顔、見てられない」
徳永さんを好きではないのだと私は否定したのに、それでも芹沢くんは誤解している気がする。
何度も何度も違うと言い続けるべきだろうか。彼が信じてくれるまで。
様々な感情が胸の中でぐるぐると混ざり合い、言葉よりも先にあふれ出したのは涙だった。
しゃくりあげるわけではなく無表情のままポロポロと大粒の涙を流す私を見て、芹沢くんは困ったように左手を伸ばして私の頭をやさしくポンポンと撫でた。
「違うの。……徳永さんのことは……元々なんとも思ってないから」
「もう言わなくていい」
気がついたら芹沢くんは撫でていた私の頭を自分のほうへ引き寄せていて。
私は上半身だけ彼に抱き寄せられる形になっていた。
私が好きなのは芹沢くんだよ、と言ってしまいたい。だけど出来なくて、それがもどかしくて仕方ない。
正直に自分の気持ちを吐露すれば、ギクシャクして偽装の恋人関係が解消になり、彼のそばにいられなくなると思う。私はそれが怖いのだ。
「だったら、そんなにシュンとするなよ。弱ってるとつけこまれるぞ」
「……大丈夫」
「大丈夫じゃないだろ。町宮のそんな顔、見てられない」
徳永さんを好きではないのだと私は否定したのに、それでも芹沢くんは誤解している気がする。
何度も何度も違うと言い続けるべきだろうか。彼が信じてくれるまで。
様々な感情が胸の中でぐるぐると混ざり合い、言葉よりも先にあふれ出したのは涙だった。
しゃくりあげるわけではなく無表情のままポロポロと大粒の涙を流す私を見て、芹沢くんは困ったように左手を伸ばして私の頭をやさしくポンポンと撫でた。
「違うの。……徳永さんのことは……元々なんとも思ってないから」
「もう言わなくていい」
気がついたら芹沢くんは撫でていた私の頭を自分のほうへ引き寄せていて。
私は上半身だけ彼に抱き寄せられる形になっていた。