今さら好きだと言いだせない

「泣いちゃってごめんなさい。私はただ誤解が嫌なだけなの。でも同情はしないでほしい。そんなにやさしくされたらすがりたくなるよ」
「同情? 俺が誰にでも同情してやさしくするって?」

 これが同期としての慰めではないなら、いったいどういうつもりなのか。
 芹沢くんは私よりも佐武さんのほうが好きなはずなのに。
 
「俺は徳永さんみたいに適当な遊び相手として町宮を軽く見てるわけじゃないから、あんなゲス野郎と一緒にされたくはない。だけど……」

 言い終えたあと、芹沢くんの瞳がなにか戸惑っているように一瞬揺らめいた。

「俺にすがれ。一切合切、全部受け止めるから」

 彼の口調が意を決したようなはっきりとしたものに変わり、私の返事を待たずして再び唇にキスをした。

 しっとりとした彼の唇が、熱い吐息と共に徐々に私の唇をこじ開けようとする。
 その流れに抗わなかった私は、あっという間に彼の舌の侵入を受け入れ、気づけば深いキスを繰り返していた。


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