今さら好きだと言いだせない
「ついこの前なんですけど、営業部の徳永さんが経理部に来たときに、私の後輩の子たちと話しているのがなんとなく聞こえてきたんですけどね……」
溝内さんの口から徳永さんの名前が出てきたのが意外だ。それに彼女の表情を見る限り、この話の展開に嫌な予感しかしない。
それでも息を呑みながら次の言葉を待つしかなかった。
「徳永さん、町宮さんを気に入ってるって堂々と言ってました。芹沢さんがいても関係ない、とも。……冗談かもしれませんけど」
「……」
「大丈夫ですか?」
溝内さんが心配そうな顔を向けてきたので、彼女を安心させるために「大丈夫」と笑い飛ばした。
内心は、経理部の子にまで軽々しくそういうことを言わないでほしいと、頭を抱えたい気持ちでいっぱいだ。
「徳永さんってそんな冗談を言うんだね」
飲み会のときや、エレベーター内で私と話した内容を思い出すと、今の話が冗談だとは到底思えない。
だけど徳永さんがどこまで本気で発言しているのか、その真意もわからないでいる。
からかわれているだけならいいのに、と願うばかりだ。
「余計なことを耳に入れてしまってすみません。でも私としては、芹沢さんとうまくいってほしいから……」
「謝らないで。教えてくれてありがとう」
私も溝内さんのように、結果はどうあれ、自分の気持ちと向き合うべきなのだと思い知らされた。
このまま逃げ腰で様子見ばかりしていていられない。
芹沢くんとちゃんと話さなければ。
偽装カップルをまだ継続するのかしないのか、今の私たちの中途半端な関係はいったいなんなのか。
溝内さんの口から徳永さんの名前が出てきたのが意外だ。それに彼女の表情を見る限り、この話の展開に嫌な予感しかしない。
それでも息を呑みながら次の言葉を待つしかなかった。
「徳永さん、町宮さんを気に入ってるって堂々と言ってました。芹沢さんがいても関係ない、とも。……冗談かもしれませんけど」
「……」
「大丈夫ですか?」
溝内さんが心配そうな顔を向けてきたので、彼女を安心させるために「大丈夫」と笑い飛ばした。
内心は、経理部の子にまで軽々しくそういうことを言わないでほしいと、頭を抱えたい気持ちでいっぱいだ。
「徳永さんってそんな冗談を言うんだね」
飲み会のときや、エレベーター内で私と話した内容を思い出すと、今の話が冗談だとは到底思えない。
だけど徳永さんがどこまで本気で発言しているのか、その真意もわからないでいる。
からかわれているだけならいいのに、と願うばかりだ。
「余計なことを耳に入れてしまってすみません。でも私としては、芹沢さんとうまくいってほしいから……」
「謝らないで。教えてくれてありがとう」
私も溝内さんのように、結果はどうあれ、自分の気持ちと向き合うべきなのだと思い知らされた。
このまま逃げ腰で様子見ばかりしていていられない。
芹沢くんとちゃんと話さなければ。
偽装カップルをまだ継続するのかしないのか、今の私たちの中途半端な関係はいったいなんなのか。