今さら好きだと言いだせない
「あの子に捕まったの? 大変だったね。やっぱり次からは私が経理部に行くよ」
「あはは。大丈夫だよ。こっちに非がなければ申請は通してもらえるわけだし」
燈子は溝内さんが私に対してだけ手厳しいのを知っているので、いつも気をつかってくれるのだけれど、さすがに同僚を使いっぱしりにはできない。
溝内さんとは部署が違うから毎日必ず顔を合わせるわけではないし、仕事で接触があるときだけ我慢すればいいのだ。
そんなふうにあきらめて……いや、あくまでも私なりにポジティブに考えている。
「なになに? なんかあるの?」
まだ近くにいた高木さんに軽く聞こえていたようだ。興味津々とばかりに、彼が私たちの輪に入ってくる。
どうやら高木さんは男性ながら、こういう噂話が好きみたい。
「経理部の溝内さんですよ。ていうか、南帆が今日イビられたのは高木さんのその書類のせいです」
「ごめん、悪かったって! 俺、営業のころから経費の申請とか社内の書類作るの苦手なんだよなぁ」
へらりと苦笑いの笑みを浮かべる高木さんに反省の色など見られない。謝ってはいるが、たいして悪いとは思っていないのだろう。
「あはは。大丈夫だよ。こっちに非がなければ申請は通してもらえるわけだし」
燈子は溝内さんが私に対してだけ手厳しいのを知っているので、いつも気をつかってくれるのだけれど、さすがに同僚を使いっぱしりにはできない。
溝内さんとは部署が違うから毎日必ず顔を合わせるわけではないし、仕事で接触があるときだけ我慢すればいいのだ。
そんなふうにあきらめて……いや、あくまでも私なりにポジティブに考えている。
「なになに? なんかあるの?」
まだ近くにいた高木さんに軽く聞こえていたようだ。興味津々とばかりに、彼が私たちの輪に入ってくる。
どうやら高木さんは男性ながら、こういう噂話が好きみたい。
「経理部の溝内さんですよ。ていうか、南帆が今日イビられたのは高木さんのその書類のせいです」
「ごめん、悪かったって! 俺、営業のころから経費の申請とか社内の書類作るの苦手なんだよなぁ」
へらりと苦笑いの笑みを浮かべる高木さんに反省の色など見られない。謝ってはいるが、たいして悪いとは思っていないのだろう。