DOLL~肌に色映る頃
アタシとアキラは何度もキスをした。

だけど、それ以上は、まだ進めない。カレもアタシも…まだオトナじゃない。

「そろそろ帰らなくちゃ」

「ああ。駅まで送るよ。」

黙ったまま駅まで歩いた。なんだか恥ずかしい…少しうつむいた。

「また電話する」アキラが言う。

「うん」

電車に乗ってから、カレを見た。笑顔で手を振っている。アタシも笑顔で手を振った。

景色が違って見えた。ドキドキする…

アタシ、キスしちゃった…
電車の窓から見えた桜が妖しく鮮やかに映る。風に花びらが舞う。

こんなにも美しい春をアタシは初めて知った。
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