執事的な同居人
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午前の仕事も終わり、昼休憩に入る前。
「石沢さん。少しお時間頂いてもよろしいですか?」
俺はとある人を呼びに来た。
その名の通り、俺にあの家を紹介してくれた紀恵さんの父親を。
「おお!島崎か!どうした?」
「少し、お聞きしたいことがありまして」
「そうか!なら一緒に昼でもどうだ?」
「はい、ぜひ」
いつもは久東と他何人かで食べているが、今日は石沢さんと共にする事になり、食堂の窓際、カウンター席で横並びになった。
「こうやって食べるのも昔以来だな~」
「そうですね。懐かしいです」
石沢家にはいつもお世話になっていたから。
「それで、なんだい?聞きたいことって」
「紀恵さんの件、なのですが」
瞬間
外を見ていた石沢さんが、パッと俺の方を向いた。それはもう素早く。
「紀恵が、どうした?」
「連絡先を教えていただきたいんです。今日マーケティング部の方で飲み会があるので、紀恵さんには帰りが遅くなるとお伝えしたくて。」
「ああ、そんな事か。てっきり紀恵に彼氏でも出来たのかと思ったじゃないか」
ホッと安堵の表情を浮かべる。
……あながち間違ってないかもしれませんよ。