執事的な同居人
どう考えても思い出せないから
潔く諦めることにした。
眠る紀恵さんの身体を抱き上げて、部屋へと連れて行く。
もちろん紀恵さん自身の部屋に。
起きてしまうかもしれない、
という心配はない。
紀恵さんは一回寝てしまうと深い眠りについてしまうから。
ガチャッ……
ゆっくりとドアを開けて
紀恵さんの部屋に入る。
(………軽いな)
少し心配になるくらい。
(今度からご飯少し多めに盛っておこう)
言ってしまえば太る!とかで怒られそうな気がして、こっそりやることに。
ゆっくりベッドに下ろして
毛布を掛けた。
この時に
(…………まだ付けていたのか)
前髪に付けられているヘアクリップの存在に気がついた。
寝る時もずっと付けているなんて
(よっぽどお好きなんですね)
あいつのことが。