執事的な同居人
相手は高校生。
手を出してしまうのは良くないこと。
(俺は、完璧な人間なのだから)
石沢さんとの約束は守らなければ。
信用を失ってはいけない。
……分かっているつもりだ。
だけど
彼女を目の前にすると
「…………………」
触れたいという気持ちが芽生えるのだ。
前までなら俺のことを思い出していないことに
好都合だと思っていた。
けれどいつの日か彼女は思い出してしまったらしい。なのに、それが嬉しいという気持ちになる。
ああ、思い出してくれたのだと。
まだ俺との思い出は消えてなくなっていないのだと。
嬉しいものの、颯ちゃんなんて呼ばれてしまえば、どう接すればいいのか分からなくなった。
だから、
今度は俺が思い出していないフリをする。
どう反応すればいいのか
どう対応すればいいのか
分からないから。
思い出してほしくない
だけど思い出してほしかった
矛盾していることになんて、気づいてる。