執事的な同居人







そんな彼がお味噌汁に手をつけると





「………この味噌汁、」


「あっ、それね!お母さんの手作り味噌なの!

小さい頃からその味噌で作ったお味噌汁飲んでいたから、他の物が飲めなくて…」




その瞬間






「懐かしいな……」





ポツリ、と。


呟くように聞こえたその言葉。






「えっ?」



懐かしい…?





私の聞き間違えじゃないなら、


懐かしい、って


そう言ったよね?






「それって……」




颯太さんは一瞬ハッとした顔を見せた。




と。





「………あっ、すみません」



颯太さんの携帯から着信音が。




「ううん……」




どうぞどうぞ、と。
電話してきていーよ、と。


彼を促した。



ペコリと軽く頭を下げた彼は席を立ち、携帯に耳を当ててリビングを出て行く。




(懐かしいって……?)




私はその事で頭がいっぱいに。



この味噌汁の味は私の家でしか出来ない味だと思うんだけど……



だってお母さんの手作り味噌だもん。
他に売ってないし。



それを颯太さんは "懐かしい" と言った。




………それってさ




(昔の事を、思い出し始めてるってことじゃない!?)




これは、押していくべきかも…!


< 134 / 422 >

この作品をシェア

pagetop