執事的な同居人







「俺じゃないなら誰で悩んでんの?」




外に出てもずっと跡をつけてくるから




「あーもう!ほっといてよ!!」




眉根を寄せて振り向くと




「あれ?どうしたの?」


「…………………」


「石沢サーン」




隣で「おーいっ」とカイが私に声を掛けてる。



そう理解は出来ているのに、私の目はカイじゃなくて









(颯太……さん?)









道路を挟んだ向こう側に



颯太さんと女の人の姿が見えた。




2人は立ち止まって何やら話をしていて




「なに見てんの?」




カイも私が見つめる方向に視線を移す。



スーツ姿の颯太さんに、女の人もスーツ姿だ。



きっと仕事の最中だと思う。




………でもね、






(なんか……仲良さげ…)






楽しそうに笑い合っていて



なんだかとても良い雰囲気で





(………ああ、なんだろう、)





________見たくない。







クルリと方向転換をして背を向ける。



袋を掴む手にギュッと力が篭ると軽く音が鳴った。


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