執事的な同居人
「リンゴジュース飲むとね!全身から力が漲るような感覚になるの!!だから二日酔いになってるであろう颯太に買ってきてあげたんだ~」
冗談を言っているような顔には見えなくて、至って真剣なその表情。
二日酔いになってる相手には普通栄養ドリンクを渡すところを、篠原はなぜかリンゴジュースを渡してきた。
その意外性に
「それで、リンゴジュースをね…」
思わず笑みが溢れてしまった。
「ちょっと~?信用してないでしょっ」
「もちろん」
「騙されたと思って飲んでみなさい!…と、ちょっとごめん、電話だ!」
携帯を片手に電話に出る篠原を見つめて
(騙されたと思って、飲んでみるか)
その言葉を信じてみようと思った。
……と。
(やけに後ろが騒がしいな…)
喧嘩でもしているのかと思って、自然と視線を後ろに当てる。
俺の瞳に映り込んだのは
「紀恵さん?」
と、
誰かの後ろ姿。
(……友達か?)
……いや、友達にしては距離が近い気が。
紀恵さんの頬に手を当てるソイツ。後ろ姿からして男だということには気づいてた。
ああ…もう、
________頭が痛い。