執事的な同居人
接客
「おう!おはよう颯太!」
「おはよ」
いつものように挨拶をして夜の世界に踏み入れた俺。
「さっき言った通り、今日は外に出てもらうからこれに着替えてくんね?」
「……………………」
何も言わずにその服を受け取り、着替える。今の服装とあまり変わりはないが、あるとすればネクタイ以外真っ黒だということ。
上から下まで真っ黒スーツ。そして赤ネクタイ。そのネクタイのせいで今の姿がとても派手に見える。
「おお~ やっぱ似合うよなぁ。颯太にはずっと外で働いて欲しいくらいだわ」
「………次はしないからな」
「って前も言ってたけどな!」
ケラケラと笑う涼。
確かに前回もそう言った気がしてきた。なのに今、またホストとして働こうとしている。
……お人好しすぎるな。
「いや~ほんと悪いな、今日はお願い。」
左手を掲げられると、
「…………ああ、了解。」
パチンとその手を軽く叩く。
苦手なネクタイは少し大袈裟に緩めて。