執事的な同居人




私は颯太さんに電話を掛け続けている。


外から聞こえてくる音は着信音のようなもの。






──────そして







「っ!」





鍵を開ける音が大きく聞こえて





(帰ってきた!!!!)





やっぱり、あの着信音は颯太さんだったんだ!





自然と足が玄関の方へと向かい、走った。





未だに玄関のドアは開かないままで、


中から開けてあげようと思いドアノブに手を掛ける。





「颯太さ…!」





早く会いたい。





その気持ちが溢れ出てしまい、


勢いよく開けてしまったドア。






「わっ、ビックリした」






目の前にはスーツ姿の颯太さん









……ではなくて








「あなた……誰?」








眉根を寄せて睨むように私を見る女の人が。







「誰、ですか…?」




もちろん知らない。


見たこともなければ会ったこともない。




そんな人が、なんで、ここの鍵を……?

< 165 / 422 >

この作品をシェア

pagetop