執事的な同居人
「麗華さん」
俺も、彼女の名前を呼んだ。
「大丈夫?昨日、魘されてたよ」
「ああ、それはここにいるのが嫌だからでしょうね。」
「え~?ひどーい。タダで住ませてあげるのにそんな言い方するの?」
「麗華さん。俺、お断りしましたよね?
聞いていなかったのならもう一度言いますけど、俺はここに住む気ありませんよ。」
「知ってるよ~」
「なら、これ、さっさと外して貰えますか?」
麗華さんにロープで結ばれた手首を見せる。
けれど彼女はニコニコと微笑むだけで
「だから、繋いでるの。それ外しちゃうと颯太くん帰っちゃうから」
………まあ、簡単に外してくれるわけないと思っていたが。
「あと、携帯はどこに隠したんです?」
「気づくの早いね。ほら、ここにあるよ」
そう言って、彼女はポケットから俺の携帯を取り出した。
意外にもそれは簡単に返してくれて、警察にでも連絡してやろうかと思ったが
開ければ、着信が一件。
…………紀恵さんからだ。