執事的な同居人
「颯太くんのグラスに睡眠薬を入れたの。睡眠薬って凄いよね?あっという間に颯太くん寝ちゃうんだもん。寝顔、可愛かったな~」
俺の頬を指で軽く滑らすようにして撫でる。
あぁ、こんなヤツの手なんかより
俺のことを" 颯ちゃん "っと呼んでくれる、あの子に触れられたい。
「それで?」
「酔い潰れちゃったみたいだから、家まで送ってあげてもいい?ってオーナーさんに聞いたの。じゃあ簡単に許してくれたよ。
あそこのオーナーさんって結構ガバガバだよね~」
「…………………」
その事については何も言い返せない。
確かに涼はどこかしっかりしていない部分がある。そういう一面があるから、従業員もサボりがちだ。
言わせてもらえるなら、
あの野郎。従業員を客に送らせるな。
そう注意したいくらいだ。
カッターシャツのボタンに手をかけると、1つ1つ丁寧に外していく麗華さん。
「それでね、さっき
颯太くんの家に行ったの」
その瞬間、されるがままだった俺は麗華さんの手首を掴む。
「何しに?」
「何って、颯太くんの荷物を取りに。特に無さそうだったからカバンだけ持ってきてあげたよ」
この女、未だに俺をここに住ませる気らしい。