執事的な同居人
(早く、会いたい、)
会いたいのに、会えない。
いつものように「紀恵さん」って優しい顔で名前を呼んでほしい。
今なら子供扱いされたっていい。
だって、颯太さんからしたら私はまだまだ子供だもん。
それはどう足掻いたって変えられない事実だし、大人の颯太さんに追いつけるわけもない。
だから、今日は子供だと思われないように大人っぽい服装をしてきた。
いつもはあまりしない化粧にだって手をつけて、いつもより濃いめに。
ホスト街なんて、高校生が歩いていたら通報される事間違いないし。
(まあ意味なかったけど……)
店が開いていないのだから、この格好も意味無し。
夜にまた来よう。そう思うも、待ち切れない私もいる。
気が晴れないままトボトボと足を進める。
一風変わった建物の前を通り過ぎようとした時
「………、…え?」
その建物の外に飾られた写真。
その写真の中に
「颯太さん!?」
彼の写真があった。