執事的な同居人






待って、なんで?


なんで写真があるの?




だって、颯太さんは、厨房担当だって言ってたのに…!







(裏作業の人を外に貼り出す必要なんてある?)




その写真に手をついてジーーっと長く見つめた。





間違いない。


人違いでもない。





この人は、












「あれれ、どうしたの?

壁に手なんかついちゃってさ。
体調でも悪い?」


「っ!」






ひょっこりと私の横に現れたのは、ビニール袋を片手に持つ1人の男の人。






「いや、えと……」



パッと壁から手を離すと








「あっ、やっば」




彼は慌てて颯太さんの写真を隠すようにして剥がした。



もちろんその事に「あっ…!」と声を漏らしてしまった私は、無意識にその写真を掴んでしまって






「この人はどこですか!?」


「え?」






食い気味にそう聞いてしまった。







「あー…悪いけど、従業員の個人情報は言えないから。ごめんね?」







少し戸惑った様子を見せる目の前の男は、早く追っ払いたいと思っているのだろう。




きっとやばい女だと思われてる。


颯太さんに依存している女だと。




 


「じゃあ俺行くから。元気そうで良かったよ」



ニコリと笑みを浮かべるその男。





ダメだ、逃がしちゃダメ。


この人は、颯太さんの事を知ってる。


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