執事的な同居人
その建物の中に入ろうとした彼の腕を掴み、
「わ、たし!"島崎"紀恵って言います!
颯太さ…じゃなくて、島崎颯太は私のお兄ちゃんなんです!!」
……なんて。信じてもらえるか分からないけれど、賭けに出た。
「えー…と、」
「(やっぱり…ダメ…?)」
きっと気付かれる。
そう思ったが
「颯太に妹いたんだ!?」
「うっ、え?」
意外にも信用してくれたみたいで
驚かされたのは私の方だった。
「あー良かった!やばい女かと思ったけど、颯太の妹だったんだ~」
「あ、はい!そうなんです!妹なんです!!」
あははっ…と苦笑い。
騙せちゃった…
「へぇ~!そっかそっか!!
あいつ自分の話あまりしないからさ、良かったら中で話でもしようよ!家での颯太の話とか聞きたいしさっ」
「へ?え、わわっ……」
腕を掴まれると、
そのまま中へと連れ込まれた。
話よりも颯太さんの居場所を…