執事的な同居人






中に入ると、もちろんお客さんもいなければ従業員もいなくて





「静か……ですね」

「まだ朝だからね~ 騒がしくなるのは夕方を過ぎたあたりかな」

「そうなんですか…」

「ここに来るのは初めて?」

「はい……だから、ちょっと新鮮というか…」





キョロキョロと周りを見渡してしまう。




ホストクラブってこんな感じなんだと、この店に来て初めて中を知った。



店内はとても綺麗で、大きな水槽があって、なんだかとても高級感のある感じ。



その大きな水槽には色とりどりの小さめな魚達がゆったりと泳いでいる。





「どこでもいいよ~ 座って座って!」

「いや、私は、」

「お酒は飲める?」

「の…飲めません…」





颯太さんの居場所を聞いたらさっさと帰ろうと思っていたのに、奥の部屋へと行ってしまった彼を見て渋々ソファーに腰を下ろした。






(高そうなところ……)






このソファーも絶対高いよね?


家にあるソファーと質が違う感じ。



汚したら弁償とかになりそうだし、あまりもたれないようにしよう…






ふと、目の前のテーブルに視線を移せば、テーブルの上にメニューのような物が。




触っていいのか分からないけれど、ゆっくりとそのページをめくる。




そこにはズラリと書かれたお酒の数々と






「えっ」





お酒の横に書かれている数字は、たぶんこのお酒の値段だ。その値段は車が買えそうな額だった。



思わず驚嘆してしまった私はパッと口元を抑えるも、





「ん~?どうしたー?」





どうやらその声は奥まで聞こえていたみたいで、たぶん水だと思うグラスを持って私のいるその場所に彼は帰ってきた。





「いえ…、なんでもないです…」





開いていたメニューを急いで閉じた。




ホストクラブって凄くお金使う場所なんだな…

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