執事的な同居人
「……お兄ちゃんは学校でどんな感じだったんですか?」
お兄ちゃんって言うのもなんだか慣れてきた。
「颯太はスマイルキラーだったよ。あいつに微笑まれたら最後、一瞬にして心撃ち抜かれるとか言われてたな~
だから、颯太を家に呼びたいっていう女が山ほどいたくらい。
学生って言っても俺が颯太と知り合ったのは大学生からで、その4年間は1回も家に帰って来なかっただろ?」
「あ、えと、そ、そうですね……」
私は今颯太さんの妹ってゆー設定だもんね…
「だろ~?あいつやべーよな。4年間ずっと女の家転々としていたとかさ。まあ俺も人のこと言えないけど」
そして彼は水を一口飲んだ。
今の颯太さんからすれば想像もつかないような話。
スマイルキラーはなんとなく理解できるけど、女の人の家を転々としていたってことだけは、信じたくても信じたくないような内容だ。
ただ、分かることは
(昔の颯太さんは荒れていたんだな)
ということ。
(だから、あの日、隠したんだ)
付き合ったことはあるの?ってそう聞いた時、颯太さんは何も言わずに逃げた。
それはきっと、荒れていた過去を私から隠したかったんだ。
言ったら軽蔑されるとでも思ったのかも。