執事的な同居人
確かに最低だとは思うけど、
軽蔑はしていない。
だってそれは昔の話だから。
今の颯太さんとは違う。
(ほんと、想像つかないや)
私もリンゴジュースを一口飲む。
私が知らない颯太さんの過去。
聞いて損した、とは思ってない。
寧ろ、聞けて良かった。なんて。
あの颯太さんのことだもん、これからもずっと隠し通しそうだし。
「それで?」
「え?」
「ここにいた理由、教えてよ」
……ああ、そうだ。
ここに来たのは颯太さんの昔の話をしに来たのではなくて、
「……お兄ちゃんが家に帰って来てないんです。昨日ここの仕事に行ってから、帰ってこなくて…。
だから、何かあったんじゃないかと、」
「え、まじ?」
驚いた顔は一瞬で
「昨日、麗華さんが颯太を家まで送るって言ってたんだよな~
もしかしたら、
お持ち帰りされちゃったのかも。」
ニヤニヤと笑みを浮かべてた。