執事的な同居人
厨房
夕方。
居ても立っても居られなかった私は、少し早めにそのホスト街にやってきた。
家に居ても落ち着かないし、どこか出かけようとしても出かける気にならない。
今日は日曜日。
まだ夕方だというのに、休みの日だからかホスト街はとても賑わっていた。
(すごい人…)
念の為帽子を被って、顔をあまり見せないようにしてきた。
だって、化粧をしたところで高校生なのバレちゃったし…
キラキラと輝くネオン街。
朝来た時と全く違う雰囲気で、慣れてないこの場所とその空気感に、軽く息を飲む。
あちこちではホストらしき人が女の人に声をかけていたり、女の人も満更でもない顔をしている。
(裏回っていこう…)
もし声をかけられでもしたら、高校生だってことがバレちゃいそうだし。
急ぐようにして路地に入り、ホッと心を落ち着かせた。
路地はさっきと違って殺風景で、キラキラと輝くような場所ではない。
人も居ないし、静けさだけを感じる。
(確か……こっち、だよね?)
目的の場所らしい方角に歩いて行けば、
男の人が1人。
その人は壁にもたれ掛かりながら煙草を吸っていた。
この人もきっとホストだ。
だって服装がそれっぽいし。